未然見合い
「ちょっと待て、ストップ!じゃああれか?お前、高校のときから俺のこと好きなのか?」
「ねえ、注目する点がそこっておかしくない!?」
先輩とのイロゴトについては言及する素振りもない翔太に、思わず噛み付くあたし。
だって、そうでしょ。
何日も悩んで、考えて、涙流したあたしの苦悩はそこから始まったのに!
「おかしくないだろ。じゃあ何で早く言ってくれないんだよ、俺の苦悩に塗れた数年は一体……」
「あんたにだけは言われたくないわ、その台詞」
最大級の呆れを交えて、深い溜め息をひとつ。
そんなあたしの様子を間近で認めたこの男は、片眉を吊り上げてこんな言葉を口にした。
「じゃあ俺、何のために《ピ――》のテク磨いたんだよ…」
「本当に要らない情報ありがとう」
「好美が男遊びなんかするからだろ!」
「ちょっと、ヒトの所為にしないでくれる!?」
「本当のことだろ。好美に相手してもらうためには相当上手くないと、って聞いたんだよ!」
「なんなのよその噂…!」