未然見合い
信じられない。
何よその、意味不明な噂は!
「ていうか、そんなのを鵜呑みにする翔太が信じられない…」
「仕方ないだろ、お前が口きいてくれなかったんだから!」
「だからって幼馴染なんだから、大体わかるでしょ!?察してよ!」
「あの頃は本ッ当にお前の考えてることが分かんなかったんだよ!」
「あら奇遇ね?あたしもだっつうの!なんで好きでもない先輩のこと抱けるのよ、このクソが!」
「って!蹴るなよお前…!つーか覚えてねえんだよ、単なる若気の至りじゃね?」
「この!クソ野郎が!!あたしの十年返せマジで!!」
「おま、いって!クソクソ言い過ぎなんだよクッソ!」
「あんただって言ってるだろうが!」
「な、おいちょっと待てって――」
ドッターン!
無駄に応酬している内に、翔太がひっくり返ってしまった。
……て言うか、あたしが押し倒した…?
「お前、好美。大胆だな…」
「なんでちょっと恥ずかしそうなのよ!頬を染めるな!事故だ事故!!」