未然見合い
いま、何て言った?
ぱちくり目を瞬かせながら、今し方鼓膜に響いた言葉を胸の内で反芻してみる。
「お見合いって、お見合い?」
"はあ?それ以外に何があるのよ"
「いや、そうだけどさ…。初対面の人と結婚しろと?」
友人は皆がみーんな恋愛結婚で。
結婚式に招待される度、嬉しくもあり悲しくもあった。
まあ、何が言いたいかというと。
出来ればあたしも恋愛して、その行く末として結婚出来たら良いな、なんて思っていた訳で。
「母さん、あたしお見合いはちょっと――」
遠慮するわ、と。
続く筈だった言葉は母親にバッサリと遮られる形になる。
"ああ、大丈夫よ。初対面のヒトじゃないから"
「は?」
"それと、"
初対面じゃない?
ある意味爆弾発言とも取れる言葉の意味を考えていたところで、更なる衝撃的な言葉が続け様にあたしを襲った。
"もうOKしちゃったから、事後報告なのよ。これ"