未然見合い
斜めに顔を傾けた翔太があたしに口付け、器用に舌先を捻じ込ませてくる。
歯茎の裏に押し当てられたそれに応えるようにすれば、一瞬だけ後頭部に添えられた手のひらに力が籠ったような気がした。
「――んッ、」
「……」
「ちょ、……待って!」
触れていた唇が離れたかと思えば、今度はあたしの首元に顔を埋めるように屈んだ翔太。
目を見張って離れるよう声を上げるものの、気にも留めていない奴は触れたばかりの唇で至る所にキスを落とし始めて。
「――落ちてねぇな」
昨晩自らが残した痕に舌を這わせるものだから、大袈裟なくらいあたしの身体が浮く。
「翔太ってば!」
「なんだよ」
「なんだよ、じゃないっての!ココ外なんですけど」
「知ってる」
「だったら早く離――」
「す訳ねぇだろ。帰ったら好美から求めたくなるようにしてんの、邪魔すんな」