未然見合い
んな横暴な!強い口調でそれに反論しようとするあたしだったけれど、
「――…、…ッ」
荒々しくキスを落としていく彼の姿が怒っているように見えて、慌てて口を噤んだ。
どうして怒っているの。もしかして、
「妬いて、くれた…?」
無意識の内に零してしまった言葉は拾うことなんて出来ない。
羞恥に染まる頬を見られまいと顔を俯けるが、感じる視線は必然で。
「………」
「……、」
「好美」
唐突に音に乗せられたのはあたしの名前。
それに釣られるように顔を上げると、ニヤリと口角を上げた男は笑み孕んだ声音で。
「わりぃ、お前が言って欲しい言葉は分かってたんだけど」
「…ッ、」
「素直に言うまで放置してたんだわ」
「――…良く出来ました、好美チャン」
妖艶に瞳を細めた翔太が殊更その距離を詰めてくるものだから、慌てて男の口許を隻手で覆い隠した。
「ちょっと、待ってよ!」
「あんだよ」
「支離滅裂もいいとこなんだけど!あたしが素直に言うまでって、何にも言ってないし」