Sarcasm
サターンの報告だけで、重大な犯罪がいくつも飛び出す。捜査員たちの表情がいつも以上に強張った。

「……私の報告は以上です」

サターンがお辞儀をして、席に座る。

顔を真っ青にした議長が咳払いをし、「次!ネプチューン捜査官、報告したまえ」と言った。

「はい」

ネプチューンは緊張しながら言う。

「私は殺しの命令は五件、臓器売買のための誘拐を三件、法律で禁止されている動物の売買に二件、関わりました。誘拐された子どもは脱走したように見せかけて保護をし、動物も専門の捜査員に引き渡しました。犯罪の証拠として動物も保護しています」

「何と言うことだ…」

「犯罪なら何でもするのか…」

あちこちからそんな言葉が小声で飛び交う。ネプチューンは息を吸い、「私の報告も以上です」と言い席に座った。……残るは、一人。

「では最後に、マーキュリー捜査員」

「はい」

マーキュリーは厳しい目で見つめられ緊張しているのか、少しうつむき気味に報告を始めた。

「えっと……私はまだプルートに潜入して一週間しか経っていないので、殺しの命令はされていません。しかし、殺し屋を育てるプロジェクトを見てきました」

「プロジェクト?」

「はい。施設などから子どもを連れ去り、幼いうちから殺し屋になるための訓練を受けさせるというものです。五、六歳ほどの子どもに殺傷能力が高い銃を持たせ、射撃の訓練を行ったり、軍隊がするような過酷なトレーニングをさせていました」
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