その夜は、星が綺麗だった
日本どころか、世界までも騒がせ、悲しみにくれさせた



『仕事が生きがいと言っていた彼女がなぜ!?』

そんな疑問をテレビの画面の司会者が言った




母は女優をやめてからテレビには出なかったし、記者のインタビューをもひらりとかわしてきたそうだ



人々は分からずじまいに終わった





母は言いたくなかったのかもしれない



父も何も答えない

母が言わないなら自分も何も語らないと記者にこたえていた





聞いてはいけないことなのかもしれないと思ったから、今まで心で思ってはいても、口をつぐんでいた



いや、違うな

ただ、母に嫌われるのが怖かっただけなのかもしれない



記者に何度も同じ質問をされ母の性格ならうんざりして、苛立ちさえ覚えていたのかもしれない



だから、記者と同じ質問をすれば私も母にうんざりされて嫌われてしまうかもしれないと思っていたのだろう


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