その夜は、星が綺麗だった
『おじょーちゃーんっ!時間だぜぇ!』


電話の向こうから声がする



結局、一昨日貰ったネックレスをつけて行くことにした



『はぁーい!すぐに降りる』



時間ギリギリまで悩み出した結果



いつもの時間になっても車に来ない私を心配して電話を掛けてきてくれたお兄さん



遅刻にはならないことは確かだが、急いで部屋を出る





「行ってくる、八代」



「お気をつけて」




うん、気をつける



焦っていては怪我するからね


ありがとう、八代



やっぱ、流石だ八代は



伝えたいことを短く、わかりやすく



簡潔に述べるということはとても難しい



あの一瞬で、私に時間が押していることが分かり、いつもより冷静さがないと判断してのあの言葉




八代がああ言ってくれなければ、きっと私はどっかで怪我していただろう


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