その夜は、星が綺麗だった
がらがらがら、とあちこちからスーツケースを引きずる音


私の荷物は八代が運んでいる



そういえば今何時だっけ?


「レナ様、あちらを」


私の後ろにいた八代が私に右方向を向け、と


八代と同じ方向を見るとそこには父がいた



「お、お父さんっ」


ビックリした

まだ仕事をしている時間では?


「おかえり。久しぶりだな。向こうに車を回せてある」


「八代も桑原もごくろうだった」と父は言う


二人は頭を下げていた


「お久しぶりですお父さん。今、仕事のほうは大丈夫なんですか?」


と、疑問に思ったことを口にする



「ああ、早めに終わらせてきた。残っていてもお前に手伝わせれば済む話だしな」



「久々の再開というのに、こきつかうおつもりなんですね」



実の娘に対してこの扱いはひどい、とは思いながらも、父らしいとも思ってしまう


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