その夜は、星が綺麗だった
家に帰ると母がソファで本を読んでいるところだった


父が「戻ったよ」と声をかけて、やっと私たちに気づいたようだった


本を読んでいるときは、別の世界に行ってしまったのではないかというぐらい集中している


そんな母は父の声にはすぐに反応するらしい


変だね


「ああ、おかえりなさい」


2年前と変わらぬ容貌で微笑む母


さすがですとしか言いようがない



父が先にお風呂に行き、私は自分の荷物整理をしているところだ




変わらない部屋



掃除も隅々までしていて、清潔な状態だった



スーツケースからすべの荷物をとりあえず片付けたところで


コンコン


とドアをノックする音


お父さんがもうお風呂から上がったのかな?




「はい、どうぞ」




「失礼するわね」


母だった


「どうかしました?」



母と話すときは比較的敬語になりやすい



おかしな話だ


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