その夜は、星が綺麗だった
「それに、あなただって、それ、毎日肌身離さずつけているのでは?」



母の言葉はあっていた



「......」



何も言えなかった


『あなたも本当は彼のこと想っているのでは』と聞かれそうだったからだ




「まあ、今日のところはこれまでにしましょう」



今日のところはってw

また聞かれるのねw



「主人から約束のことは聞きました。あなたが選んだ人だったら心配ないだろうと、主人もおっしゃっていましたし、私もそう思っています。ですが、あの約束を無効にすることは私にお願いしたとしても、どうにもできないことですので」



......お母様にはなんでも見透かされてますのね



「主人があんな約束をしたのは、あなたのためなんですからね」



「私のため?」



婚約か結婚してるとなれば、パーティーとかで私の地位や財産目的で近寄ってくる人から守るためかな?



「ええ。......この話はまたにしましょう。そろそろ主人が上がる頃でしょう」



「分かりました。お母さん、おやすみなさい」



立ち上がって、ドアに向かう母の背に言う


「主人の手伝いはいいですけど、たいがいにね。では、良い夢を」



くすりと笑って部屋から出た母



「あははっ、バレたかぁ~」



お風呂から上がったら仕事しようかなって思っていた


気づかれていたようだった



「しかたない、今日はじっくり寝よう」




そのあと、執事の八代がドアの向こう側で、父がお風呂から上がったことを知らせてくれた



私は久しぶりの湯舟でじっくりと体を芯まで温め、1時間ほどの入浴を終え、ベットに向かい、静かに瞳を閉じた





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