その夜は、星が綺麗だった
上弦の月


秋風が頬をかすむ


少し肌寒い



だけど、それが心地よい




「久しぶりだな、レナ」


私の瞳をとらえながら真っ直ぐに見つめるアキトくん


「……」


無言の私


何も言うことなんてない


あの時、私は彼を突き放したのに


「この間にあった最後の大会も、ちゃんとてっぺんとったんだぜ?」



てっぺん、とはきっと全国大会で優勝したということだろう



「それはおめでとう」


静かに言ってみる


「おう、サンキューな」


私とは反対に笑顔なアキトくん










私がいなくても



大丈夫じゃん











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