その夜は、星が綺麗だった
「ねえ、私の話聞いてくれる...」



「ああ」




何から言おうか



慌てなくていい




夜は長いから







「私のね、本当の名前はね






 ホシ





 っていうの」




誰よりも、あなたに、一番に伝えたかった



やっと言えた




やっと私をあなたに





「綺麗な名前だな、ホシ」





「ええ、私もそう思う」




夜に向けていた瞳を棚にあるネコに向ける



二匹をとって



一匹を渡す




「約束通り、あなたに返します」





「......」

受け取り、彼は口にする


私の名を













「ホシ



 好きだ」




























「ばか......」



あーあ、


先に言われちゃったな




「ばかって...ひどいな。結構、いっぱいいっぱいなんだぞ」






知ってる






震えてるじゃん







ホントばか








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