その夜は、星が綺麗だった
「送ってくれてありがとう」


私は嬉しそうなアキトくんの顔を見る



「おう」



その笑顔が少し



何か企んでいるかのような笑みに変わる






「なあ、レナ。抱きしめてもいい?」



うわっ
そうきたか


「いや」




「そーゆーと思ってたけど、でも、ダーメ」




「はぁ?何がダメなの、わっ!」



ふわっと


優しく



包み込むように



抱きしめる







その時

私が


思い出していたのは




幼い頃



1度だけ



たった1度だけ



私のことを抱きしめてくれた兄のこと



今でも覚えている









私を守ってくれたお兄ちゃん…






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