[完]君からの愛を
かき氷を全員分買って、戻ると
「あれ、椎名くんは?」
美結と蒼汰くんに聞くと、2人とも微妙な顔をした。
「…トイレ行ったよ」
たったそれだけなのに、何でそんなに微妙な顔をするのか。
それは、椎名くんが戻ってきてわかった。
「ちょー不機嫌」
私の後ろでボソッと柊仁くんが呟いた。
不機嫌…?
「あ!かき氷!美結はいちご、蒼汰はソーダ、椎名くんは…「レモン」」
一瞬躊躇ってから、言ったその味を椎名くんも同時に言った。
椎名くんは珍しく目を見開いた。
―――覚えてるよ。笑ってくれてたあの時、何でも1番好きな味はレモンだって言ってたこと。