[完]君からの愛を


「ね、ねぇ…」


「私、私…柊仁くんのこと……」



上手く話せない。



季節は10月。


寒くは無いはずなんだけど、全身が冷えて、血の気が引いていくのが分かる。



「莉果、ゆっくりでいいよ。落ち着いて」


美結は、本当に頼もしい。ふわふわしていて、可愛いけれど、家では6人姉弟の長女。しっかりしているのも当たり前だね。



「柊仁くん、私と初めて会った時、初めましてって言わなかったの。私、柊仁くんが言っていた言葉に引っかかることがいくつかあって…」



いつも、私を知っているような話し方をしていた。



「もしかしたら……」



私はハッとして飛び出した。


目的は家に帰ること。


お母さんなら、何か知っているのかもしれないと。



< 69 / 118 >

この作品をシェア

pagetop