[完]君からの愛を
「ね、ねぇ…」
「私、私…柊仁くんのこと……」
上手く話せない。
季節は10月。
寒くは無いはずなんだけど、全身が冷えて、血の気が引いていくのが分かる。
「莉果、ゆっくりでいいよ。落ち着いて」
美結は、本当に頼もしい。ふわふわしていて、可愛いけれど、家では6人姉弟の長女。しっかりしているのも当たり前だね。
「柊仁くん、私と初めて会った時、初めましてって言わなかったの。私、柊仁くんが言っていた言葉に引っかかることがいくつかあって…」
いつも、私を知っているような話し方をしていた。
「もしかしたら……」
私はハッとして飛び出した。
目的は家に帰ること。
お母さんなら、何か知っているのかもしれないと。