恋の神様に受験合格祈願をしたら?

【side:日向にこ】

 毎日、女の先輩から、すれ違いざまに小さな嫌がらせをされたり、笑われたり、「ぶりっ子」とか「サイテー」や「死ね」とか言われたりする。
 けど、大したイジメはないまま、予算会当日がきた。
 実は、1回だけ、ちょっと大きなイジメに遭った。
 登校すると、私とリカちゃんとハルちゃんの上履きがなくていた。
 その日は、客用のスリッパで過ごした。
 ハルちゃんは、すぐにラインで上履きがなくなったことを生徒会のメンバーに報告した。
 そして、私たちは職員室に向かった。
 担任の先生に事情を報告していると、近くにいる先生たちがわらわらと集まってきた。
 数分後には、生徒会メンバー全員が職員室に集まった。
 そうして、数名の先生を巻き込んでの上履き探しが始まった。
 上履きはすぐに見つかった。
 3年生の教室が並ぶ階の、女子トイレのゴミ箱から見つかったんだ。
 昼休み。
 会長がこのイジメを校内に放送した。
 そのとき、私たち3人はクラスでお弁当を食べていた。
 みんなが一斉に騒めき、私たちに視線が集まった。
「被害に遭った上履きは、被害者3人の了承を得て、今月いっぱい保健室で保管します。これはイジメの一部にしかすぎませんが、その酷さを自分の目で確かめたい方は、保健教諭の南波先生に声をかけて下さい。今後、目に余るイジメで証拠があるものに関し、被害者の了承があれば逐一報告していきます。被害者である事実を全校生徒に知られても構わない方は、担当の教師か、近くの生徒会役員に申し出てください」
 そう締めくくられた会長の言葉は、とても影響力があった。
 廊下を歩いていると、
「もうイジメ出来ないじゃん」
「証拠残したら退学だよ」
「ミユキ、ヤバくない? アンタ、目ぇつけられてるかも」
 なんて会話が耳に入った。
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