恋の神様に受験合格祈願をしたら?
なんだ?
この可愛い生き物は?
完全に見惚れてしまった。
こんなことは初めてだ。
こんな奇跡みたいに可愛い子、本当に存在するんだ。
最高に可愛すぎる。
その一言に尽きた。
これから受験だろうに、女の子は大きな目と、赤く上気させた頬を、涙でキラキラ光らせていた。
そして、思い切り泣きたいのを懸命に堪えてるのか、小さな唇をへの字にしていた。
「私が先生に説明します。だから……あの……ゴメンなさい」
女の子が口を開くたび、涙が大粒に変わる。
綺麗な涙だ。
こんなにキラキラと輝く涙を初めて見た。
それに、とても綺麗で一生懸命な泣き顔だ。
赤ん坊が懸命に泣くのに似ている。
いや、そのものか。
自分のことなど、一切考えてないんだろう。とても純粋な泣き顔だ。
俺は女の子に魅入りながら、不謹慎だと思いつつも胸を熱くさせた。
泣き顔がこんなに可愛いなら、笑顔はもっと可愛いだろう。
俺は、無事な手をそっと女の子の頬にあてた。
なんだこの感触。
母さんが時々買ってくる超高級のモチモチな大福より柔らかい。
「落ち着いて」
自分でも驚くほど柔らかい声で、俺は女の子を労わった。
女の子の頬を触ったのって初めてだからわかんないけど、女の子の頬って、病気かもと疑うほど熱いものなのか?
それとも、この子が興奮しているから熱いだけ?
初めて尽くしに、俺の心臓が爆発しそうなほどバクバクする。
ムラムラというか、胸が熱いを通り越して、心臓が痛くなってきた。
幼稚園時代からまわりの女子に嫌われ、小学校でも色々あったから、恋愛どころか女子に好意をよせることなく成長してきたけど、俺の価値観が今、一変した。
保護欲を掻き立てられるというか、なんというか……たまらない。
今すぐこの子を抱きしめて、すべての視線から守りたいと思う俺って異常か?
落ち着け俺。
相手は泣いてる女の子だぞ。
弱ってる相手を守らなきゃと感じるのは当然として、男として興奮するのはなしだろう。
……いや、ありだ。
だって、人目をはばからずに抱きしめたい衝動にからりたてる女の子なんて、初めてなんだ。
もしかして、これが一目惚れか?
他人を分析したり、誘導するのが得意な俺が、そんな打算や駆け引きを忘れて一瞬で惹かれてしまうなんて……。
「私のせいなのに落ち着けません!」
女の子は頭を振ると、強い意志を持った瞳で、真っ直ぐに俺の瞳を見つめてきた。
女の子の絶えない涙で潤い続ける瞳に、俺が映る。
この子、弱そうにしか見えないけど、もしかして、とても芯が強いのかもしれない。
「わかったから、まずは俺から両手を離してくれないか? 話はそれからだ」
俺は、出来るかぎり優しく女の子に微笑みかけた。
女の子は自分のしていることに今気づいたのか、目を大きく開いて驚いた顔をした。
そして、慌てて俺から両手を引くと、地面に倒れている黒の学生鞄を拾いあげて抱きしめた。
あれ?
見る見るうちに、女の子の耳や手や首が赤くなっていく。顔も、最初から染まっていた頬以外が赤くなっていく。
「まずはこれ。キミのでいいんだよね」
俺は巾着を女の子に差しだした。
「おばあちゃんのお守り」
女の子は愛おしそうに巾着を見つめると、そっと両手で包み込むようにして受け取った。
純粋で眩しい女の子の表情に、俺は怪我をしながらも巾着を守れたことが誇らしくなった。
「ありがとうございます」
女の子が勢いよく頭をさげた。
「いいって。謝ってほしくて拾ったわけじゃないし」
俺は慌てて女の子の両肩に触れた。
見た目以上に小さくて細い肩に、俺は掴むのをためらうと、そっと手をのせるにとどめた。
「ほら、顔を上げて」
俺は女の子の耳元に唇をよせ、柔らかく話しかける。
女の子がおずおずと顔をあげた。
真っ直ぐな女の子の澄んだ瞳に、俺はいけないことをしている気がして両手を離しそうになった。
この可愛い生き物は?
完全に見惚れてしまった。
こんなことは初めてだ。
こんな奇跡みたいに可愛い子、本当に存在するんだ。
最高に可愛すぎる。
その一言に尽きた。
これから受験だろうに、女の子は大きな目と、赤く上気させた頬を、涙でキラキラ光らせていた。
そして、思い切り泣きたいのを懸命に堪えてるのか、小さな唇をへの字にしていた。
「私が先生に説明します。だから……あの……ゴメンなさい」
女の子が口を開くたび、涙が大粒に変わる。
綺麗な涙だ。
こんなにキラキラと輝く涙を初めて見た。
それに、とても綺麗で一生懸命な泣き顔だ。
赤ん坊が懸命に泣くのに似ている。
いや、そのものか。
自分のことなど、一切考えてないんだろう。とても純粋な泣き顔だ。
俺は女の子に魅入りながら、不謹慎だと思いつつも胸を熱くさせた。
泣き顔がこんなに可愛いなら、笑顔はもっと可愛いだろう。
俺は、無事な手をそっと女の子の頬にあてた。
なんだこの感触。
母さんが時々買ってくる超高級のモチモチな大福より柔らかい。
「落ち着いて」
自分でも驚くほど柔らかい声で、俺は女の子を労わった。
女の子の頬を触ったのって初めてだからわかんないけど、女の子の頬って、病気かもと疑うほど熱いものなのか?
それとも、この子が興奮しているから熱いだけ?
初めて尽くしに、俺の心臓が爆発しそうなほどバクバクする。
ムラムラというか、胸が熱いを通り越して、心臓が痛くなってきた。
幼稚園時代からまわりの女子に嫌われ、小学校でも色々あったから、恋愛どころか女子に好意をよせることなく成長してきたけど、俺の価値観が今、一変した。
保護欲を掻き立てられるというか、なんというか……たまらない。
今すぐこの子を抱きしめて、すべての視線から守りたいと思う俺って異常か?
落ち着け俺。
相手は泣いてる女の子だぞ。
弱ってる相手を守らなきゃと感じるのは当然として、男として興奮するのはなしだろう。
……いや、ありだ。
だって、人目をはばからずに抱きしめたい衝動にからりたてる女の子なんて、初めてなんだ。
もしかして、これが一目惚れか?
他人を分析したり、誘導するのが得意な俺が、そんな打算や駆け引きを忘れて一瞬で惹かれてしまうなんて……。
「私のせいなのに落ち着けません!」
女の子は頭を振ると、強い意志を持った瞳で、真っ直ぐに俺の瞳を見つめてきた。
女の子の絶えない涙で潤い続ける瞳に、俺が映る。
この子、弱そうにしか見えないけど、もしかして、とても芯が強いのかもしれない。
「わかったから、まずは俺から両手を離してくれないか? 話はそれからだ」
俺は、出来るかぎり優しく女の子に微笑みかけた。
女の子は自分のしていることに今気づいたのか、目を大きく開いて驚いた顔をした。
そして、慌てて俺から両手を引くと、地面に倒れている黒の学生鞄を拾いあげて抱きしめた。
あれ?
見る見るうちに、女の子の耳や手や首が赤くなっていく。顔も、最初から染まっていた頬以外が赤くなっていく。
「まずはこれ。キミのでいいんだよね」
俺は巾着を女の子に差しだした。
「おばあちゃんのお守り」
女の子は愛おしそうに巾着を見つめると、そっと両手で包み込むようにして受け取った。
純粋で眩しい女の子の表情に、俺は怪我をしながらも巾着を守れたことが誇らしくなった。
「ありがとうございます」
女の子が勢いよく頭をさげた。
「いいって。謝ってほしくて拾ったわけじゃないし」
俺は慌てて女の子の両肩に触れた。
見た目以上に小さくて細い肩に、俺は掴むのをためらうと、そっと手をのせるにとどめた。
「ほら、顔を上げて」
俺は女の子の耳元に唇をよせ、柔らかく話しかける。
女の子がおずおずと顔をあげた。
真っ直ぐな女の子の澄んだ瞳に、俺はいけないことをしている気がして両手を離しそうになった。