恋の神様に受験合格祈願をしたら?
 俺は引かない熱に片手で顔を仰ぎながら、リューイチを上目遣いに睨んだ。
「あの態度、気持ち丸わかりでしたね」
 マモルも楽しそうに俺を見下ろしてきた。
「よかったですね。先輩」
 ヒロが気持ち悪い呼び方をしたかと思うと、
「あれって、俺らはついでだよな」
 ケイまで愉快そうに俺を見てきた。
「なんなんだよ、お前ら! その気持ち悪い態度」
 居たたまれずに、俺は両手をテーブルについて立ち上がった。
「アンタの恋がちょっと実りかけてるかもって、みんなして喜んであげてるだけじゃない」
 1人、仁美ちゃんだけがご機嫌斜めな様子だ。
「大志が俯いてる間、ニコちゃんがどんな顔してたか知ってる?」
 仁美ちゃんの質問に「知るかよ」と口を開きかけたら、俺が答えるよりも早く、
「見てないから知らないでしょう。ニコちゃんを使い走りにした罰として、一生教えてあげない」
 仁美ちゃんがそっぽを向いた。
「俺、ニコちゃんに何も頼んでないぞ」
「頼んでなくても、その態度がニコちゃんを動かしたんでしょうが! ニコちゃん、アンタの具合が悪いと思って飲み物を買いにいったの。全部アンタのため。私たちはそのついで。態々説明してあげないと、それくらいわかんないの?」
 真剣な仁美ちゃんの瞳に、俺は息を飲んだ。
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