恋の神様に受験合格祈願をしたら?
5章 誰にもあげたくありません!
【side:菅野大志】
俺は全速力で階段を駆けおりた。
途中、
「女子のシリを追っかけてんのかよ。ダッセーッ」
予算会で野次を飛ばしただけでは足りなかったらしい塚本が、俺に突っかかってきた。
「いい情報ありがとな」
その言葉が本当なら、ニコちゃんか、その友達2人か、それとも3人全員がお前を追い越してったってことだろ?
礼を言う俺に、塚本は呆気にとられたようだ。
今は、これ以上お前に関わってる暇ないんだ。
階段をおりきる。
ストレートコースを駆け抜ける。
ドアがない食堂の入り口に手をかけると、遠心力を利用して中に飛び込んだ。
「ニコちゃん!」
自販機が3台並ぶ先には、見崎ちゃんが心細そうに立っていた。
「アレ? なんで1人なの。ニコちゃんと谷地ちゃんは?」
見崎ちゃんも1人では危険だ。
それを、谷地ちゃんも見崎ちゃんもわかってるはずだ。
「ニコがいないから、二手に分かれたんです。リカは、人通りがまばらだからいつもは使用しない体育館の自販機に行ってます。ニコがいなかったらすぐ帰ってくるって、約束してくれました。アタシはここで待機中です。もしかしたら、アタシたちとニコ、違うルートを選んだのかも。だから、アタシたちがニコより早くここについたのかもしれないし……」
見崎ちゃんが言いよどむ。
俺は最短のルートでここへきた。
見崎ちゃんたちもそうだろう。
自販機があるのは2か所。
何か特別な理由がないかぎり、ニコちゃんが俺たちと違うルートを選んだ可能性は低い。
俺たちがニコちゃんから目を離したのは、わずかな時間。
その間に、ニコちゃんに何かあったとしたら……。
「何かあっても、アタシとリカはいいんです。大声あげたり、立ち向かったりできます。けど、ニコは違うから……」
俺が知るかぎり、初めて見崎ちゃんが涙ぐんだ。
よほどニコちゃんが大切なんだろう。
それは俺も同じだ。
嫌な予感ばかりが頭を駆け巡る。
焦燥感にいてもたってもいられなくて、俺は歯を食いしばった。
途中、
「女子のシリを追っかけてんのかよ。ダッセーッ」
予算会で野次を飛ばしただけでは足りなかったらしい塚本が、俺に突っかかってきた。
「いい情報ありがとな」
その言葉が本当なら、ニコちゃんか、その友達2人か、それとも3人全員がお前を追い越してったってことだろ?
礼を言う俺に、塚本は呆気にとられたようだ。
今は、これ以上お前に関わってる暇ないんだ。
階段をおりきる。
ストレートコースを駆け抜ける。
ドアがない食堂の入り口に手をかけると、遠心力を利用して中に飛び込んだ。
「ニコちゃん!」
自販機が3台並ぶ先には、見崎ちゃんが心細そうに立っていた。
「アレ? なんで1人なの。ニコちゃんと谷地ちゃんは?」
見崎ちゃんも1人では危険だ。
それを、谷地ちゃんも見崎ちゃんもわかってるはずだ。
「ニコがいないから、二手に分かれたんです。リカは、人通りがまばらだからいつもは使用しない体育館の自販機に行ってます。ニコがいなかったらすぐ帰ってくるって、約束してくれました。アタシはここで待機中です。もしかしたら、アタシたちとニコ、違うルートを選んだのかも。だから、アタシたちがニコより早くここについたのかもしれないし……」
見崎ちゃんが言いよどむ。
俺は最短のルートでここへきた。
見崎ちゃんたちもそうだろう。
自販機があるのは2か所。
何か特別な理由がないかぎり、ニコちゃんが俺たちと違うルートを選んだ可能性は低い。
俺たちがニコちゃんから目を離したのは、わずかな時間。
その間に、ニコちゃんに何かあったとしたら……。
「何かあっても、アタシとリカはいいんです。大声あげたり、立ち向かったりできます。けど、ニコは違うから……」
俺が知るかぎり、初めて見崎ちゃんが涙ぐんだ。
よほどニコちゃんが大切なんだろう。
それは俺も同じだ。
嫌な予感ばかりが頭を駆け巡る。
焦燥感にいてもたってもいられなくて、俺は歯を食いしばった。