恋の神様に受験合格祈願をしたら?
「ニコちゃん、あのさあ」
 俺は焦りで逸るのをこらえながら、ニコちゃんの瞳を真っ直ぐに見つめた。
「はい」
 ニコちゃんが俺を見上げる。
 何も言わない俺に、ニコちゃんから笑みが消えていく。
「菅野さん?」
 不思議そうなニコちゃんの大きな瞳に、情けない顔をした俺が映る。
 カッコ悪い。
 これから告白しようってのに、俺、こんな顔してるんだ。
 けど、俺にこんな顔をさせるのは、ニコちゃんだけなんだよ。
 ニコちゃんだけが、俺を心底不安にさせられるんだ。
「俺、ずっと……お守りを拾った日からずっと……キミが好きなんだ」
 微かに、外から部活動のざわめきが聞こえる中、俺の告白が静かに響いた。
 ニコちゃんの瑞々しい大きな瞳が、ますます大きくなった。
 そして、俺を映し続ける。
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