恋の神様に受験合格祈願をしたら?
「仁美ちゃんはともかく、谷地ちゃんと見崎ちゃんは受験再来年度だろう?」
 俺の言葉に、谷地ちゃんと見崎ちゃんが顔を強張らせて固まった。
 これは何かあるな?
 受験の合格祈願以外の何かだ。
「それで? 交通費は残ってるお年玉をはたくとして、泊まるとこは? この人数だぞ? いくらなんでも、日向さんとこに全員で押しかけるのは無理だろう」
 冷静なリューイチに、
「もう確認取ってもらいました。お盆明けの一週間、農作業の手伝いしてくれるならオッケーだそうです。途中で電話をかわってもらって話したけど、大歓迎だって。ぜひおいでって」
 仁美ちゃんが目をキラキラさせて答えた。
「相手がいいと言ってるなら、そうだなあ」
 面白い。リューイチが押されっぱなしだ。
 行く気満々な3人に対して、ニコだけがオタオタし続けていた。
「どうしたの? ニコ」
 俺が尋ねると、
「えっと……その……あの……なんでもないです」
 明らかに挙動不審な態度で話をはぐらかしてきた。
 怪しい。
「まあまあ、夏の計画はこれから話し合うとして。ひとまずアイス食べようぜ」
 ケイが棒つきのチョコアイスを齧りながら、買い物袋をテーブルに置いた。
「それもそうだな」
 リューイチを筆頭に、みんなが袋に手を突っ込んでいく。
 残ったアイスは2つ。
 俺は2つを手に取ると、ニコがちょこちょことよってきた。
 ニコは存在自体が可愛い。
 ちょっとした動きや表情も可愛い。
 一緒にいると、抱きしめたい衝動が抑えきれなくなる。
 結果、生徒会室と俺の部屋限定で抱きつきまくっている。
 ニコんちでも抱きつきたいけど、ニコに可愛くてエロい声を漏らされて、それを家族に万が一聞かれたら、俺が即刻追い出されそうだから我慢してる。
< 90 / 116 >

この作品をシェア

pagetop