永遠に愛を貴方に捧げて

パーティーは父である、国王がお酒の入ったグラスを持ち上げて始まる。

そこからはずっと次から次へとやってくる人と挨拶を交わす。
次期国王であるお兄様の結婚相手に娘をという人が多く、さらに私にもお兄様に言って上手く娘を紹介してほしいと言ってくるから驚きだ。

「リリィ姫、今日も一段と美しい。私と向こうでお話しませんか?」
「ごめんなさい。今日は遠慮しとくわ」

社交辞令なのか、こうやって私に対して何か言ってくるのが一番困るわ。

美しいなんて本当に思っているのか、結局は私の身分とヴァンパイアの力がほしいだけ。

リリィはもう嫌になっていたが、今逃げ出したら母である王妃からきついお説教を後で受けるのがわかっているので作った笑顔でなんとか頑張る。

ウィルはどこの警備をしているのかしら。
周りを見渡してもウィルは見当たらない。

...ウィルがいないとつまらないわ。

ウィルがパーティーの参加者としていればお話相手になってくれるし、男性に言い寄られても上手く追い払ってくれるのに。

そんなことをぼんやりと考えていると、視界に真っ赤なドレスが入る。

「ごきげんよう。リリィ姫」

ドレスに負けないくらい真っ赤な唇。

アリアだ。

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