永遠に愛を貴方に捧げて


案内された部屋は王宮にいくつかある特別な部屋の一つ。

全ての力を無効化する部屋。

この部屋ではどんな力も意味を持たない。
一部のヴァンパイアを除いて。

侵入者には優しさを見せてはならない。
それは隙をみせるのと同じことだ。

恐怖で支配せよ。
それがヴァンパイアのやり方だ。

リリィの瞳は既に紅くなっている。


ウィルが扉を開けると、中にいた騎士達がいっせいに跪く。

ヴァンパイアの上に立つものの一人としてのリリィの纏うオーラーにみな圧倒される。

「あなたたち、人間ね。何の御用でこちらにいらしたのかしら?」

スッと冷たい視線で三人の人間を見る。

「…」

勿論、人間は何も話さない。

簡単に話すわけないわよね。
それに、そのために私が呼ばれたのだから。

「しょうがないわ。話しなさい」

リリィの瞳が一瞬、さらに真紅に輝く。

するとその瞳に見つめられた人間の一人が話し始める。

「おれたちはめいれいされた」
「それは誰に?」

喋ってる本人はなぜ自分の口が動いているのか理解していない。

無理矢理口を手で押さえようとするも口は動き続ける。

「しらない。かねをやるからキュウケツキのヒメをさらえといわれた」

人間がそう言った瞬間ウィルが私の前に立ちはだかり、剣の先が人間に向けられる。

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