永遠に愛を貴方に捧げて

「ウィル、大丈夫よ。この人たちは何も出来ないわ」

拘束されている上に、相手は人間だ。
ここで今、何かをできる状況ではない。

「ウィル」

私がもう一度名前を呼ぶと、ウィルは納得してなさそうだったが剣をしまい私の隣に立つ。

しかしウィルの瞳もリリィと同じように紅く、人間に対してかなりの警戒をしている。

人間が下手な動きをすれば一瞬でその命が飛びそうだ。

「私を連れてってどうするつもりだったのかしら?」
「やしきにつれていけばヒメとこうかんでカネをくれるといっていた。そのあとはしらない」
「そう。そのあなた達に頼んだのも人間?」
「にんげん」
「頼んだ人間は本気で私を誘拐できるとも思ってたのかしら?それともこれは、私への警告かも」

思わず口元に笑みが浮かぶ。

私が笑っているのを見て、人間たちが恐怖の表情を浮かべる。

「いいわ。あなた達は使われただけだし、帰してあげる。まぁ、少しだけ記憶は消させて頂くけれど。…けれど覚えときなさい。あなた達のことなんて秒で殺せるということを。ヴァンパイアには慈悲なんてないわ。殺すことに躊躇いはないの」
「姫、」
「…記憶を消すのはまかせるわ。消したら、どこかに捨てておきなさい。後は頼みました」

ウィルが私を呼ぶ声を無視して言い切ったあと、そのまま部屋を出る。

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