永遠に愛を貴方に捧げて
「私の話を聞いて下さい」
「聞いてるわ。だって暇そうにしている人がいなかったんだもの。付いて来てなんて言えないわ」
「私がいます」
「ウィル、あなたは騎士団長なのよ?あなたが一番忙しいはずだわ」
「姫を探しに行くのに比べたら最初から付いて行った方がよろしいと思いますが?」
「っ…」
リリィが言葉に詰まるとウィルは少し口角を上げて勝ったような表情をする。
麗しい黒の騎士。
令嬢たちからそう言われているウィルは自分の容姿がどれだけ整っているのかわからないのか町に出ても容姿を隠そうとしない。
そのせいでさっきから町にいる人々がウィルに視線を向けている。
これじゃあ私が変装している意味がないわ。
「でもウィルと一緒に行くと目立つから、あなたはダメ!」
「なら変装すればいいのですか?」
「っ…ダメ!あなたはダメなんだから!とりあえず戻りましょう。目立ってしまっているわ」
リリィはフードを深くかぶり直して歩き始める。
「姫、何で急いでいるのです?」
「急いでないわ」
意地悪だ。
私がウィルと並んで歩きたくないことをわかっているくせに。
けれど早歩きをして横に並ばないようにしようとするもウィルの長い足のせいですぐに追いつかれてしまう。
「ならそんなに早く歩かれたら転びますよ」
「…子供じゃないもの、きゃっ」
そう言ったそばから、小石につまずいて転びそうになる。