永遠に愛を貴方に捧げて
その時、庭の向こうから何かが凄いスピードでこちらに来ているのが見えた。
あの速さと大きさはまさか‥。
リリィは逃げようと思ったが、時既に遅し。
リリィよりも大きなグレーの毛並みの動物が飛びかかってきた。
ぎゅっと目を瞑るも、衝撃は襲ってこない。
その代わりザラザラとした舌がリリィの顔をペロペロと舐めている。
「…まったくその登場は心臓に悪いからやめてって言ってるでしょ!ロイ!」
リリィが顔を舐めている動物、狼にそう言う。
「まず降りて!」
リリィの上に覆いかぶさる様にしている狼にキッと睨んで言うと、クアッと欠伸をしたあとゆったりと降りる。
そして、
「相変わらず冷たいねぇ、リリィは」
たちまち人間の姿に変わった。
「冷たいもなにも。いつも狼になって私に飛び乗るのだから当たり前だわ」
狼の時と同じグレーの短い髪。
高い身長とがっしりした体型、さらに鋭い瞳。
見た目はかなり怖そうだが、実際はそれどころか呑気でいつもふざけているような狼だ。
ロイは狼人間であり、狼人間を治めている王の息子。つまり王子だ。
「久しぶり。お姫様」
ロイはそう言って、今度は人間の姿でリリィの頬にキスを落とす。