永遠に愛を貴方に捧げて
「ほら、言った通りです。危なっかしい」
グイッとウィルの腕がリリィのお腹にまわって引き寄せられる。
「あ、ありがとう…」
ウィルとの距離の近さに思わずドキッとしてしまう。
「まったく子供ですね」
「あら、私はウィルと二つしか変わらないわ。何百年も生きるヴァンパイアにとってその差はないものよ」
「では、レディらしく振舞ってください」
「ウィルの前だけだもの。他の人の前では完璧な私を演じているわ。この間だって、たくさんの人にダンスを申し込まれたし、求婚の手紙だってたくさん来ているわ」
どうだと言わんばかりに口角を上げてリリィが言うも、なぜかウィルは真顔でリリィを見つめる。
「その視線は何?せっかくの良い顔が台無しになってるわ」
「…さすが姫だと感心しているのです」
「私を褒めるなんて珍しい!私を褒めても何もあげないわよ?」
「生憎、欲しいものは自分で手に入れますので」
「嫌味な男ね」
‥なんて、嘘。
リリィはそう言いつつも心の中では真逆のことを思っていた。
ウィルは実力で騎士団長まで上り詰めた。
何もしなくても王女という身分のおかげで不自由なく過ごしてきた私の方こそ嫌な女。