永遠に愛を貴方に捧げて


「えっ?!もう帰ってしまったの?!」

次の日、朝起きると侍女からロイが早朝に帰ったことを伝えられる。

「ロイ様から姫様にお手紙を預かっております」

そう言われて渡された手紙に目を通す。

そこには別れを言わずに帰ることの謝罪と人間の王についての情報がわかれば知らせるということが書かれていた。

そして最後には、次会うときは戦場じゃないといいねと書いてあった。

縁起でもないことを書くなんて、と思いつつもロイなのでしょうがないとする。

リリィは手紙を蝋燭の火で燃やし、大きく伸びをした。

1日が始まるーーー。


朝食をとった後、庭に向かい薔薇を眺める。

お兄様に今日は部屋から出るなと言われてないしいいわよね…?

人間が泊まっているだろう棟とこの庭は遠いからきっと鉢合わせすることはないだろうけれど。

庭を歩きながら昨日のことを思い出す。

久しぶりにお兄様に本気で怒られた。

きっとお兄様には前からバレていたのだろう。
自分を卑下して、飾りのような存在だと思っていたことも。

もしかしたらウィルの前で何回かそういうことを言ってしまったからお兄様に話したのかもしれない。

お兄様に怒られて目が覚めたようなそんな感覚だった。

自分を卑下したって何も良いことはない。
わたしがやりたいこと。私にしかできないことはなんだろう。

それにお兄様に直接、政治の駒じゃないって言われて嬉しかった。


そんなことを思っていると、後ろからガサガサっという音がした。
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