永遠に愛を貴方に捧げて


この人には弱みを見せてはいけない。

リリィは口元に笑みを浮かべて挑戦的な表情でクロード公爵を見つめる。

「私に何の用かしら?」
「…この間のパーティーが終わった後、娘が泣いておりまして、約束をしたのに家に来てくれなかったと」

名前こそ出さないがそれはウィルのことだ。
私があの日ウィルを引き止めたから、彼はアリアのもとには行かなかった。

「それはかわいそうだけど、私には誰のことかわからないからどうすることもできないわ」
「本当にわからないのですか?」

スッと目を細めてリリィに問いかける。

「えぇ。クロード公爵が言ってる人のことも、その人が来ない理由もわからないですわ。そんなつまらない話のために私は時間を割きたくないの。もう行っていいかしら?」

わざとらしく首を振りながら言う。
知らないと言っている以上、向こうも何もいえない。

わざとらしい態度にクロード公爵は歯軋りをしてリリィを睨む。

そして、

「この小娘が」

クロード公爵は吐き捨てるように言う。
その言葉は小さな声だったがしっかりとリリィの耳に届く。

「‥小娘がなんて言われてもわからないものはわからないですわ。ーーそれと口の聞き方に気をつけなさい」


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