永遠に愛を貴方に捧げて

リリィは瞳の色を戻すと一瞬立ち眩みが起きる。

少し血が足りなくなってるわね。

ヴァンパイアの力の源は血であるため、血が足りないと力も使うことができない。また力を使えば使うほど消費され、血が必要になる。

そもそもヴァンパイアは老衰以外にも心臓に損傷を与えるか血が不足しても死ぬのだ。

ヴァンパイアの血をもらうのが一番だが、ヴァンパイアの首筋に牙を立て血を貰う行為は夫婦にしか認められていない。

そもそも吸血行為は夜の夫婦の営みと一緒にするものだ。

動物の血でもヴァンパイアの血よりはいくらか味も回復する程度も劣るが問題ないため未婚の男女はそれを飲んでいる。

けれどリリィは動物の血が苦手だった。
だから極力必要な時以外は飲まないようにしている。

大丈夫、まだ必要ではないわ。
一瞬の立ちくらみ程度ならまだ十分に力を使える。

頭の中で侍女が部屋に戻ってくるように呼びかけられる。

「今日何か予定あったかしら」

思い出せないが呼ばれたからには戻らないといけない。

せっかくの薔薇も予期せぬ者たちのせいでこれ以上楽しめそうにない。

リリィは足早に部屋へと戻る。
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