永遠に愛を貴方に捧げて
「リリィ!昨日も一人で町に行ったって聞いたぞ!あれほど一人で行くなと言っているのに…」
「お兄様…」
昼下がり、庭で薔薇を鑑賞していると現れたのは私の兄であり第一王子のルークだ。
もうバレてしまった…
「お前が町に行く理由もわかるが一人で行くのは今後一切禁止だ。最近は他の種族との関係が悪化してきているからな。他の種族も自由にこちらの領域に入れる以上、安心とは言えない」
「悪化ですか…?」
「あぁ。特に最近は人間の王がよからぬことを企んでいるという噂をよく聞く」
「…そうですか」
人間…この世界の種族の中で最も弱いとされている種族。
見た目が同じだけに人間とヴァンパイアには大きな隔てのようなものが昔からある。
「心配ない。さすがに人間と戦うことはないだろう。向こうだってそんなバカなことはしないさ」
「そう、ですね」
憎しみが大きくなれば、冷静ではいられない。戦争に勝つというよりは戦うことに意味を持ってしまう。
「暗い顔をして、そんなに一人で町に行きたかったのか」
「え?」
私が暗い顔をしている理由を勘違いしたお兄様が聞いてくる。