永遠に愛を貴方に捧げて

「あれは怒っているのではありません。心配しているのです」
「それってどう違うの?」
「腹を立ててるわけではないということです」
「うーん。そういうことにしておくわ。…それより、騎士団は基本剣を扱うのでしょう?ウィルもヴァンパイアとしての力は使わないの?」
「私はそもそも養子ですし、ヴァンパイアとしての力はほとんどございませんから」
「…本当にそうかしら?」
「本当も何もそれが真実ですが…」

私の質問がよくわからないと戸惑ったように返すウィル。

私の隠し事に近づく秘密。
だけど、私は信じる。

「違うわ。あなたは、ヴァンパイアとしての力は持ってるけど発揮してないだけ。眠ったままなのよ」
「眠ったまま…?」
「えぇ、そうよ。私たち、王族の力には及ばないけれどそれぐらいの力は持ってるわ」
「まさか…なぜ私が?」
「それはまだ教えられない。けれど、あなたの力を引き出すことは…」

可能だわ。

リリィは最後まで言わずに瞳を紅く輝かせ、ウィルの瞳を見つめる。

「姫…?!」

そのまま、人間を操って喋らせたようにウィルを支配しようと意識する。

リリィに意識を持ってかれそうになるウィルは苦しそうに頭をおさえる。

そもそもまだ操られていない時点でウィルに力が眠ってることを証明しているようなものだ。

人間ならば苦しまず一瞬で操ることができる。

「ウィルなら絶対にできるわ」
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