永遠に愛を貴方に捧げて

「ウィル?!急にどうしたの?」

具合が急激に悪くなって一人で立っているのが辛いのだろうか。

「よかったです。これからはヴァンパイアの力でもあなたを守ることができます」
「ウィル‥」
「今度の建国祭のエスコート、今年も私にさせてくださいませんか?」
「え?それは‥」

ついさっきお兄様にお願いしようと思っていただけにリリィは言葉に詰まる。

ウィルに頼むと周りの女性が怖いなんて流石に本人には言えないわね‥。

「あ、アリアとかにはエスコート頼まれていないの?」
「さぁ‥?手紙が来ていたような気もしますけど見てません」 
「えええ‥」

それまずいんじゃないの?
絶対アリア怒り狂ってるわよ‥。
それでウィルが私をエスコートしてるのを見たらそれこそ何されるかたまったもんじゃない。

「なら、クロード公爵家のご令嬢にしっかりお断りをした上ならば姫は頷いてくれますか?」
「うーん‥」

それでもなお頷かないリリィに、

「お願いします、姫‥」

ウィルは切ない声でリリィに言う。

抱きしめられているから表情はわからないけれどこんな声で言われたら、ノーとは言えないじゃないの。

「わかったわ。アリアには丁重にお断りしてちょうだいよ」
「もちろんです」

抱きしめていた腕が解かれ、珍しくウィルが笑った顔を見せる。

『貴女とウィルさまはただの姫と騎士の関係、それだけでしょう?』

あの時、アリアに言われた言葉が不意に頭に浮かんだ。

それだけの関係のままじゃ嫌だ。
心のどこかでそう叫ぶ自分がいた。

< 60 / 66 >

この作品をシェア

pagetop