永遠に愛を貴方に捧げて
5

「お茶会…?」

届いた手紙を見てリリィは怪訝な表情をする。

建国祭まであと少しのこの時期。
普通はドレスやら踊りの練習などで忙しく、お茶会を開いている場合ではない。

そして場所はアリアの家、つまりクロード公爵家だ。

どう考えても嫌な予感しかしない。

行きたくないがこの間アワード公爵家のお茶会に参加してしまったから中立な立場を示すためにも行かなければいけないだろう。

お兄様に相談してもきっと行くべきだと渋々言われるのが想像できる。

呑気にお茶を飲んでお話をして終わることはないわね。
私に対して良からぬことを企てて、こんな時期にお茶会をすると考える方が自然だ。
殺されることはないけれど、それに近いことは起こるかもしれない。

「でもクロード公爵の家で私に何かあったら真っ先に疑われるのはクロード公爵家の人間だわ。なのにお茶会をして、私に何かするってことは普通はありえない‥」

思わずポツリと疑問がこぼれる。

クロード公爵家で働いてる者に罪をなすりつけて逃げ切るつもりなのか。

もしかしたらアリアがウィルがエスコートを断ったことへの嫌がらせでお茶会をするのかもしれない。

それならば口撃だけで済むけれど。
どうしてもクロード公爵家には警戒して、考えすぎてしまう。

お茶会のドレス、それに私の護衛はどうしよう。
ウィルはダメよね、流石に‥。

ウィルを連れて行きたいところだが、アリアを間違いなく傷つけることになる。
そこまで悪魔にはなりたくない。

護衛はウィルに決めてもらったほうが確実だ。
そうなれば、まずはドレスを決めなければ。

「侍女を呼んでちょうだい」

別室で控えている侍女を呼びつけて、早速ドレスの打ち合わせをする。
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