俺が必ず守るから


今日は退院する日だ。


「海斗、よくがんばったな」


「親父、ありがとな」


なんだかんだで親父がいたこの病院だからこそ環境もよくて、いろいろ助けにもなっていたと思う。


ドナーを探すために必死になってくれていたのも知っていた。


たくさんの人の支えがあって俺はいまこうしていられる。


「ありがとうございました」


俺は病院に向かってお辞儀をした。

まだくることはあるんだけど、なんとなくいいたくなって。


俺の人生で家の次にいたのがこの病院だったから。


照り付ける太陽に、吹き抜ける風に、歩く人に、車の音に、信号の音に、そんなありふれた当たり前の光景。


それだけで俺は幸せだった。
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