最低な君は、今日も「大嫌い」を口にする
「俺8組の千藤賢太郎、バスケ部!」
そういってナチュラルに私の名前を聞き出そうとした彼もいわゆる市ノ瀬君たちと同じ人種らしい。
なんでこういう人ってこんなにコミュニケーションを取るのが上手いんだろう。
泣いてたよね?とか
なんで髪濡れてたの?とか、聞かれるかと思った。
「2組の…田宮梓です」
小さな声で言った私の言葉にふんふんと頷いて、「田宮さんまたね!」
そう言って頭をくしゃりと撫でて颯爽と去っていった。
あまりの速さに呆然としていると、チャイムが鳴っているのに気づいた。
ホームルームが始まってしまう。
焦って足元にあったカバンを手に取ると、
首にかけたままだったタオルに気づいた。