最低な君は、今日も「大嫌い」を口にする
紙袋を持って、私は8組の前に立ったまま。
はやくも15分が経った。
千藤君から借りたタオルは洗濯して、綺麗に畳んで、
さっさと返そうと思っていたんだけど。
コミュ障の私が自分のクラス以外の教室に入れるはずもなく、ましてや千藤君を呼んでほしいなんて誰かに頼めるはずもなく。
どうしようとうろたえるうちに昼休憩が短くなっていく。
このままそっと教室の入り口に置いて行こうか。
そんな血迷ったことを考えたその時、
目の前のドアが思い切り開いた。
「あれ?………田宮さん?」
ドアを開けたのは千藤君で。
いきなりのことで驚いて思わず後ずさった。
「どしたの?なんかあった?」
人懐こい顔で笑いかける千藤君にホッとしながら、手に持っていた紙袋を彼に差し出す。
「ん?なにこれ」
「この前借りたタオル…ありがとう、嬉しかった」
そう言ってぺこんと頭を下げた。