最低な君は、今日も「大嫌い」を口にする




「田宮さん!!」

下駄箱にしゃがみ込んで満面の笑みを浮かべた千藤君を見て、

…本当に待ってたんだ。

そう思った。


なんとなく市ノ瀬君に見られたりクラスメイトに見られたりするとめんどくさいことになりそうなので、足早に校門を出る。

「田宮さん?どしたのそんな急いで」

「あ、ごめんなんでもない」

私の顔を覗き込んだ千藤君は不思議そうな顔をしていた。
学校が見えなくなって、やっとほっと一息つく。

そんな私の様子をじっと見ていた千藤君は、ぱっと明るい声で言った。


「肉まん食べん?美味しい屋台あるとこ知ってんだけど」

そう言って私の腕を取った。

市ノ瀬君に、こんな風に腕を引っ張られたことは今まで何度もあった。
…千藤君は違う。
市ノ瀬君とは違う。

なんとなく、そう思った。

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