最低な君は、今日も「大嫌い」を口にする


そんな私にほっとしたように笑った千藤君は、「公園のベンチで食べよ!」と元気よく言った。

11月頭の薄寒い公園は人もまばらで、ベンチには誰も居なかった。
暖かい飲み物を自販機で買って私の手に渡してくれた千藤君は、猫のように伸びをした。

まだほんのりあったかい肉まんを両手で包んでそんな千藤君を眺めていると、不意にその顔が此方を向いた。

じろじろ見たりして感じ悪かったかな、
そう思って慌てて下を向いた。

私の真似をするように肉まんを両手で包んでベンチに腰掛けた千藤君は、ゆっくりと話し始める。


「ここの肉まんさー、部活終わったらよく食べてんの」

「…そうなんだ、」

なにか気の利いたことが言えたらいいのに、当たり障りのない相槌しか出来なかった。

「なかなか美味いっしょ?」

「うん、お肉もトロトロで美味しい」

「また食べに行こーよ」

「…うん」

頷いた私に満足そうに笑って、大きな口で肉まんに噛り付いた。
豪快な人だ。

なんで遊ぼうなんて誘ったのか聞こうと思っていた。
だけどきっと気まぐれだったんじゃないかと
そう思う。

上機嫌で肉まんを頬張る横顔を見ているとそう思えてきた。


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