最低な君は、今日も「大嫌い」を口にする
彼を見ると男子たちは顔をほころばせて何か声をかけている。
それに応えるように市ノ瀬君は首を縦に振った。
普通、漫画とか小説とかドラマだったら
こんなにイケメンでクラスの人気者の男の子はいじめられている私のことを助けてくれる、
そんな展開になるだろう。
だけど市ノ瀬君は違う。
男子たちが蹴っていた私の体操服に気づくとじっと見つめて、
踏み潰した。
ぐりぐりと体操服を踏む足にまた今日も絶望していると、ふと彼が此方を見上げる。
そうしていつものように、楽しくて仕方ないというように笑うのだ。