最低な君は、今日も「大嫌い」を口にする


「やーだ、青春?」

不意に揶揄うような低い声がしたと思ったら、目の前が真っ暗になった。

「おい、こら!!ミケやめろ!!
田宮さん離せってば!」

「え、何何何…」

どういう状況なのか全く理解できない。

目元に手をやると、どうやら目隠しをされているようだ。
思わず目元にあった手を掴むとあっけなくそれは外れた。

振り向くと、大きなつり目と目が合う。
私をじっと見つめるとにこりと笑った。


「やめろってばミケ!離れろ!」

ついに怒ったように私とその人を乱暴に剥がした千藤君は、私を背中に隠した。

「いーじゃん、ケンタローに彼女できたって噂だったから気になっちゃったんだもん
でも噂デマだったね、"友達"なんだもんね?」

そう言ってつり目を綺麗に細めて笑った。

「〜〜ミケ!!!!」

「ミケ?…猫?」

「あは、猫みたいっしょー?
三宅っていうの俺、三宅彩人。よろしくー」

「はあ…」

マイペースな人だ。
横で怒り狂う千藤君なんか見向きもせずに握手を求めてくる。
その手は千藤君によって叩き落とされてたけど。

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