最低な君は、今日も「大嫌い」を口にする


顔に命中した体操服は反応の鈍い私のせいで床に落ちる。

それをみて市ノ瀬君はまたけらけらと笑う。

「なんていうかさー、田宮さんそんなだからみんなにいじめられるんだよ。
鈍臭くてトロくて不器用で。
もっと上手く生きていけば?」

俺みたいに。

そういって首を傾げた市ノ瀬君は実際上手く生きている人だと思う。
成績もそこそこで、スポーツはできて。
顔も良くて人当たりも良くて、
器用だ。

「…簡単に言わないでよ…」

「あ?何?聞こえなーい」

わざとらしく私に顔を近づけた市ノ瀬君をせめてもの抵抗で一瞬睨みつけた。



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