最低な君は、今日も「大嫌い」を口にする
突然の私の反論に面食らったような市ノ瀬君に、ひるむことなく続ける。
「わ、私だってびっくりしたし市ノ瀬君がどういうつもりでああいうことしたんだろうっていっぱい考えたけど分からなくて、
いつものイジリなのかなって思ったらなんかバカらしくなってきて…!」
「なんだよいつものイジリって!!」
大きな声に一瞬びくりと肩を跳ねさせたけど、今日の私はいつもとは違う。
汗ばむ手を握りしめて市ノ瀬君を睨みつける。
「市ノ瀬君いつもそうじゃん!」
「何が!!」
「私の反応みて遠くから面白がって、私が一生懸命になったり感情的になったりするとすごく面白そうな顔するよね?!
そういう意地悪いことするから、またいつもみたいに私の反応見て楽しんでるのかなって思ったんだよ!」
「ちが、この前のはっ…」
何か言おうとして口をつぐんだ市ノ瀬君は私を睨む。
肩で息をする私はやっぱり病み上がりで、体調は万全では無かったようで。
酸欠のようになってしまいよろけた。
「…っ、おい!!何やってんだよ市ノ瀬!!!」
不意に廊下に響いた声に顔を上げれば、駆け寄ってくる千藤君の姿が見える。
壁と市ノ瀬君に挟まれた私を抱きかかえるようにして支えてくれた。