最低な君は、今日も「大嫌い」を口にする


「な…にしてんだよお前!!!!」


乱暴に引き剥がされた身体は反動で倒れそうになる。
そのまま千藤君に受け止められた私は、何が起きたかわからないまま。


「…お前、本当なんなの?
田宮さんはお前のおもちゃじゃねえんだぞ?!」


怒りを滲ませて吠えた千藤君なんか見ることもなく、市ノ瀬君は冷たい目で笑っている。


それからゆっくりと私に近いて、口の端を上げて綺麗に笑って言った。


「誰がなんと言おうと関係ない
田宮さんに何しようと俺の自由なんだよ。」

その顔に、ぞくりと震える。

怖い?
違う。

綺麗な指が愛しむように私の頰を撫でて、首をなぞった。

「大嫌いだよ、田宮さん」


そう言って美しく笑う市ノ瀬君から目が離せなくて。

早くなっていく鼓動に戸惑いを隠せなかった。


< 63 / 71 >

この作品をシェア

pagetop