最低な君は、今日も「大嫌い」を口にする


「…っ、いこ、田宮さん」

半ば引きずられるように千藤君に手を引かれ、その場を離れる。
握られた手にどんどん力が入っていくのが分かった。

「なんなんだよアイツ、頭おかしい」

ぶつぶつ言いながら私をちらりと見下ろした千藤君は、ふと立ち止まる。
それから屈んで、おもむろに私の唇に触れた。

「…千藤君」

「……………」

「どうしたの」

なんだか悲しそうな顔の千藤君は、汚れでも拭うように私の唇を袖でこすった。

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