クールなアイドルの熱烈アプローチ
目立ちたくないんです
「あっ!よかったー!!まだあったー!!」
「よかったねー!最後の一冊だよ!」
ショッピングモールの本屋の店頭で、20代前半と思われる女性二人がキャッキャッとはしゃいでいる。
その嬉しそうな声にチラッと視線を向けると、一人の女性の胸には“最後の一冊”と言っていた本が大事そうに抱えられているのが見えた。
「秋村陽菜の載ってるファッション雑誌って、すぐ売り切れちゃうんだよねー」
「女性ファンだけじゃなく、男性ファンも買っていくからね。
しかも、保存用と観賞用の二冊買うのが多いんだって!」
女性から出た名前にピクッと反応しながらも冷静を保つが、未だに視線は本をレジにいる店員に差し出したのにも関わらずじっとそのファッション雑誌の表紙を見ている女性達に向いていた。
「はぁ……綺麗で身長もあってスタイルもよくて顔も小さくて……私も陽菜ちゃんみたいに生まれたかったなー」
「うん、うん、すごく分かる!
しかも、今すごく人気なのに滅多にメディアに出ないし、ほとんどの情報が出てないってところがミステリアスでさらに人気なんだよねー」
「あー!!動いてる陽菜ちゃんを見たーい!!
もっとメディアに出てほしいー!!」
「そして、イベントとかで会えるチャンスを作ってほしい!!」
「そう、それ!」
女性達は興奮しながら紙袋に入れられた雑誌をまたも大事そうに抱えて店を後にしていった。
女性達の姿をずっと見ていたが、その背中が見えなくなるとやっと視線を元に戻した。
ーーごめんなさい。これ以上目立ちたくはないので、勘弁してください……。
そう心の中で深く詫びながら目深に被っていた帽子をさらに顔を隠すように下げると足早にその場を去った。
「よかったねー!最後の一冊だよ!」
ショッピングモールの本屋の店頭で、20代前半と思われる女性二人がキャッキャッとはしゃいでいる。
その嬉しそうな声にチラッと視線を向けると、一人の女性の胸には“最後の一冊”と言っていた本が大事そうに抱えられているのが見えた。
「秋村陽菜の載ってるファッション雑誌って、すぐ売り切れちゃうんだよねー」
「女性ファンだけじゃなく、男性ファンも買っていくからね。
しかも、保存用と観賞用の二冊買うのが多いんだって!」
女性から出た名前にピクッと反応しながらも冷静を保つが、未だに視線は本をレジにいる店員に差し出したのにも関わらずじっとそのファッション雑誌の表紙を見ている女性達に向いていた。
「はぁ……綺麗で身長もあってスタイルもよくて顔も小さくて……私も陽菜ちゃんみたいに生まれたかったなー」
「うん、うん、すごく分かる!
しかも、今すごく人気なのに滅多にメディアに出ないし、ほとんどの情報が出てないってところがミステリアスでさらに人気なんだよねー」
「あー!!動いてる陽菜ちゃんを見たーい!!
もっとメディアに出てほしいー!!」
「そして、イベントとかで会えるチャンスを作ってほしい!!」
「そう、それ!」
女性達は興奮しながら紙袋に入れられた雑誌をまたも大事そうに抱えて店を後にしていった。
女性達の姿をずっと見ていたが、その背中が見えなくなるとやっと視線を元に戻した。
ーーごめんなさい。これ以上目立ちたくはないので、勘弁してください……。
そう心の中で深く詫びながら目深に被っていた帽子をさらに顔を隠すように下げると足早にその場を去った。
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