クールなアイドルの熱烈アプローチ
結局ほとぼりが冷めるまでの間、勇人の家に居候させてもらうことになった陽菜は拓也が帰るのを見送りにいくと、ちょいちょいと手招きされ近づいた。

「陽菜ちゃん、勇人のことよろしくね。
それから……まあ、頑張ってね」

それは、勇人のストレートな表現への励ましなのだろう。
陽菜は苦笑しながら頷くと玄関のドアが閉まり、後ろにいた勇人を振り返った。

「越名さん、暫くの間お世話になります」

「こちらこそ、よろしく」

丁寧に頭を下げる陽菜と、嬉しそうに微笑む勇人。

二人でリビングに戻るとテーブルの上に置いていた陽菜のスマホが鳴っていて、慌てて出てみると堀原からだった。

『陽菜、社長と話して今後の方針が決まった。
暫くお前は休養して、ほとぼりが冷めるのを待て』

「休養……ですか？」

『マスコミがどう出てくるかわからないから、出来るだけ外に出るな』

忙しいのだろう、口早に話す堀原の後ろから電話がひっきりなしに鳴っている音がする。

「堀原さん……後ろの電話……」

『ああ、マスコミやネットを見た一般人からの問い合わせの電話だ』

「ごめ、ごめんなさい……」

私のせいで……。と口にする前に堀原が、陽菜。と呼びかけてきた。
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