クールなアイドルの熱烈アプローチ
その日一日、陽菜は勇人達にテレビを見ることもスマホを開くこともしないように言われた。
拓也が昨日言っていたように陽菜と大堂のことがテレビのトップニュースやネットでも騒がれている可能性が高く、今の陽菜の精神面を考えても見せられないと判断されたからだった。

朝食を食べ終わると陽菜は食器の後片付けをし、勇人と今後の役割分担を決めていくことにした。

「分担と言っても私は暫くお仕事が休みなので家事全般やらせてください」

「別にやらなくてもいいんだが……」

「いいえ、居候させてもらうんですから」

「居候じゃない」

「え?」

「居候じゃなくて、同棲がいい」

「どっ……!!」

度々、勇人から爆弾発言が投下されて陽菜は言葉に詰まることが多い。
金魚のように顔を赤くして口をパクパクしている陽菜の姿を見て勇人がふっと笑うのを見ると、陽菜はさらに赤くなってしまった。

「今日は荷物の整理をして、必要な物を買いに行こうか?」

「あ、でも堀原さんに外に出るなって……」

「君にはこれがあるだろ?」

そう言いながらいつも身に付けている変装グッズの一部であるカツラを被せられ、陽菜が目を丸くしていると勇人は満足げに微笑んだ。

「これがあれば、いつでもどこでもいける。
早く片付けて買い物に行こう」

手を取られ立ち上がらされるとクルッと後ろを向かされそのまま背中を押された。
促されるまま陽菜は勇人の隣の部屋を借りて、荷物の整理をすることになった。
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