クールなアイドルの熱烈アプローチ
ある程度の物は朝陽が拓也に預けてくれていたらしいが、やはり消耗品などの生活必需品はなかったので勇人の車で買い物に行くことになった。

「折角のオフなのに、ごめんなさい」

「いや、俺が行こうと誘ったから」

ポツリポツリと会話をしつつ、手始めにと家具を見に行った。
陽菜はいつまでいるかわからないから必要ないと遠慮したのだが、勇人も譲らない。

「必要がなくなったらその時考えたらいい。
今は必要だと思うが?」

「う……」

「それに、いつまでもベッドが一つなのも困らないか?」

「それは、私がソファーで……」

「却下。
ああ……いっそのこと一緒に寝る?」

「ベッ……ベッド!買いましょう!!」

勇人のとんでもない発言に陽菜が慌ててベッド売り場の方へ行くと、勇人はその後ろを楽しそうについてくる。

ーー……本当に一緒に寝てもいいんだけど。

などと勇人が思っていることなど微塵も気付かず、陽菜は値札と格闘しながらベッドを選んでいた。

その後、シャンプーやリンス、化粧品などを一通り揃えてマンションに戻ると変装を解きながら陽菜は一息ついた。

ーー今日はマスコミに見つからなかったけど、いつまで隠れていればいいのかな……。
隠れてるだけで、いいのかな……。

まだ明るい外から見える空を眺めながら、陽菜は物思いにふけっていた。
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